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ビル・エヴァンス分析「いつか王子様が」0分06秒41のヴォイシング [ジャズ/ピアノ/音楽]

現在、ジャズピアノ教則本を執筆中です。
掲載予定の内容「ヴォイシング事例」から一部紹介します。

・IIm7-VI7-IIm7-V7
 ビル・エヴァンス・トリオ「いつか王子様が」0分06秒41(『ポートレイト・イン・ジャズ』収録、作曲:フランク・チャーチル)

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ポイントは以下2点です。

1.G7の前に差し込まれているA♭7

G7に解決するSecondary DominantはD7ですが、A♭7はそのSub Chordとなります。詳細は『JAZZ THEORY WORKSHOP 初級編(小山大宣著)』P.72を参照してください。このように、半音上のDominant 7thコードを差し込む手法をビル・エヴァンスは多用しています。コード進行の単調さを避ける意味で、非常に効果的です。

2.F7→Em7→E♭m7

トップノートはC→D→E♭と上行、ボトムノートはF→E→E♭と下行しています。このように反対方向にヴォイシングする技法をContrary Motionと呼びます。詳細は『JAZZ THEORY WORKSHOP 中・上級編(小山大宣著)』P.54を参照してください。また、この箇所について、『ジャズ・ピアノ・コレクション ビル・エヴァンス(シンコーミュージック)』P.38においては、F7(♯9,♭9)→E7(♯11,9)→E♭(♯11,9)としていますが、これは多数の誤りがあります。Transcribe!にて解析したため、恐らく間違いありません。この次にDm7へと続くわけですが、そこへとスムーズにつながるよう、Minor 7thで半音ずつ下行するヴォイシングをしているのです。しかもDm7に向かって2つ連続しているため、これはDouble Chromatic Approachと呼ばれます。詳細は『JAZZ THEORY WORKSHOP 中・上級編(小山大宣著)』P.33を参照してください。さらに言うと、F7(♯9,♭9)のテンションコード♯9は使われていません。E7(♯11,9)の♯11、9どちらも使われていません。使われているのは11のみです。E♭(♯11,9)も同様です。


執筆中の本では、上記のような事例だけでなく、グランドピアノの仕組みや、良い音を出すためのテクニック、Transcribe!を用いた具体的な採譜方法まで掲載しています。そのノウハウを直接習いたいという方には、直接アドバイスいたします。質問のある方はこの記事にコメントをください。


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